鯉(こい)を食べよう!
こんにちは、雨水戸です。
皆さんの好きな食べ物ってなんですか?
日本人の回答として昔は寿司、天ぷら、すき焼きが多かったようですが、今ではハンバーグ、カレー、ステーキ、ラーメンなど多種多様な食文化に対応してきています。
かく言う僕は
「好きな食べ物は?」
と聞かれると
「鯉」
と答えるようにしています。
好きなんです。
鯉を食べる文化のない方は驚かれるかもしれません。
鯉!?
あの、鮮やかで、神社なんかの池にいて、近づくとすごい勢いで口をバクバクさせる、
あの鯉!?
そう、あの鯉です。
まあもちろん錦鯉なんかをザバっととってきてそのまんま食べる、という訳ではなく、ちゃんとそれ用の鯉が居るんです。
鯉料理というのは日本各地にあるようで、その歴史とか諸々はあんま興味がないと思うので後ろの方にチョロっと書きます。
で、よ。
【鯉ってどうやって食べるの?】って話ですよね。
もちろんご家庭で仕入れて捌いてみたいなのは基本的に無理です。というのも、まず食用の鯉を絶食させて身を引きしめる生け簀とか必要になってくるので。生きたまんまってのもなかなか売ってないしね。
僕がよく食べに行くのは佐賀県小城(おぎ)市です。ここは鯉料理を扱うお店が密集しており、
なるものが存在します。このあたり一帯の鯉料理専門店が加入してるグループですね。定期的にお店のオリジナルメニューが食べられる「寒鯉まつり」を開催していて狙い目です。
さて、ここでメジャーなメニューは主にふたつ。説明とともにご紹介します。
【鯉の洗い】
コリッコリの歯ごたえと弾力が魅力!酢味噌と柚子胡椒でピリッとさっぱり!
洗いは刺身と違ってただ切るだけではありません。生きた新鮮な鯉をさばいて薄切りにし、すぐ温水で洗って氷でシメる。これによってコリッコリの超歯ごたえに仕上がるんです。余分な脂がなくとても淡白でいくらでもいけちゃいます。臭みも一切なく、淡水魚特有の甘味があってとても上品な一品です。
お皿の上に氷が盛られていてその上に洗いが並べられていたり、逆に洗いの上から氷をぶっかけてあったりするので最後まで冷たくコリッコリの弾力が味わえます。
【鯉こく】
簡単に言うと鯉の味噌汁です。鯉を輪切りにして味噌汁で炊きあげ、旨味をたっぷり引き出したほっとする汁物になっています。
もともとは濃漿(こくしょう)と呼ばれる味噌汁の亜種で、臭みの強い川魚や野鳥などを調理する際に使われていた調理方法です。味噌と酒、砂糖や塩などで炊きあげた鯉はふんわりとしていてしっかり味が染み込んでおり、腹身や頭はとろけ、卵はホクホクで、田舎の良さが詰まったジーンとする美味しさです。
柚子胡椒をといて食べるとまたピリッと上品になって最高ですね。
鯉こくは産後の母乳の出が良くなるとか、精がつくといわれ、栄養価はめちゃくちゃ高いです。
場所によってはでかい鍋ごと、調理したまんまのが出てきて笑っちゃいます。
でもうめえ!とまらん!
ちなみに、広島県の尾三地区では、好意を持っている相手に対して鯉の手料理を作って、好きな気持ちを伝えるという儀式があり、今も続いているんだそうです。
恋ってことね。
2
そもそも鯉料理というものは紀元前より食されていたともいわれ、高タンパク低カロリーの美容健康食だったんです。
漁師さんが海の魚を中心的に仕入れていたのに対し、地元の人々は川魚を自分たちでとって調理していたということもあり、上品な料理というよりは郷土料理色がとても強く反映されています。
特に鯉、どじょう、フナなんかは臭みが強いため、濃漿や甘露煮など臭みを誤魔化すための調理法が発展しました。また、当時は雑菌も多かったため加熱して食べるのが一般的だったようです。
有名な鯉の産地としては長野県、山形県、茨城県などが挙げられますが、正直日本全国の山あいには大体あるんじゃないかな、と思えるくらいどこにでもあるんです。
例えば僕がよく行くのは佐賀県小城市の清水という場所ですが、有田焼で有名な佐賀県有田町にも大正から続く川魚専門店「龍水亭」や、ミシュランガイドにも掲載された「龍泉荘」などがあります。
龍水亭
龍泉荘
こちらは小城のものとは違い、蒸籠や甘酢あんかけなど上品な方面に発展した感じがありますが、それでも洗いや鯉こくといったメジャーな料理は必ず置いてあります。
皆さんの地元にも案外、鯉料理ってあるかもしれませんよ?
また余談ですが、鯉の皮にはコラーゲンがたっぷりで美肌に良いとか、鯉と恋をかけて恋愛運があがるとか、鯉の滝登りから出世したい時に食べるとか、勝負事の前に食べると良いとか色々な言い伝えがあります。
この機会に是非一度食べてみてください。
あなたの好物ランキングに食い込むかもしれません。
それではさようなら。